サウジアラビアの自動車整備業界の基盤作りに貢献
サウジアラビア日本自動車技術高等研修所(以下、SJAHI)から新人のジュニアインストラクター4名を受入れ、2009年11月8日から2010年3月20日までスキルアップ研修を実施しました。
SJAHIは、外国人労働者の多いサウジアラビアにおいて、国民の技術者・労働者の育成「サウダイゼーション」を推進しているサウジアラビア政府の要請を受け、日サ官民の合同プロジェクト(日本側はJICAと日本自動車工業会)として2002年9月に設立された研修所です。
日本政府は2001年9月から現在に至るまで、専門家派遣、機材供与、研修生受入を続けてきており、2009年から実施されているフェーズⅢでは、JICEとJICS(財団法人日本国際協力システム)との共同提案により、経済産業省から事業を受託しています。この内、JICEは現地への専門家派遣と、研修生受入を担当していますが、今回は先ごろ終了した研修にスポットを当てます。
今回の研修は、日本自動車工業会および同会員である自動車メーカー各社の協力を受け、SJAHIを優秀な成績で卒業し、ジュニアインストラクターとなった4名を受け入れました。JICEとしては昨年の2名に引き続き今年で2回目の受入れとなります。
JICEは、133日間の研修において、日本語研修、職業訓練教授法、インストラクション技法を担当し、ホンダ、マツダ、トヨタ、三菱自動車、三菱ふそうトラック・バス、日産、日野、いすゞ、スズキの計9社の日本自動車工業会会員メーカーで、各社1週間~2週間ほどの技術研修が行われました。どのメーカーでも暖かく、また熱心に懇切丁寧なご指導をいただき、研修外でも歓送迎会を開いてくださる等、研修生を暖かく迎え入れてくださいました。
JICEの日本語研修(1週間)では、特に研修先が多数あるため、研修生が各受入先にスムーズに溶け込めるように、自己紹介や基本的なフレーズ等を中心に学び、また日本式の名刺交換を実際の名刺を使用して練習しました。さらに、「豚肉、お酒がだめです」など、日常生活において宗教上、特に注意しなければならない事柄についても日本語でうまく伝えられる様、実生活ですぐに役に立つ内容を学びました。
また、職業訓練教授法(約2週間)では、カリキュラム開発、ニーズ分析など、研修生にとって新しい分野ではありましたが、研修生が既にSJAHIにて教鞭をとっているインストラクターであるため、自己の体験をもとに教授法の様々な点について積極的に吸収できました。
今年度は、研修最後にアクションプランを作成し発表する機会を設定しました。今後のSJAHIインストラクターとしてのキャリアプラン、日本で学んだ研修内容をいかにしてSJAHIにて応用していくかという点を中心に発表を行いました。研修受入先関係者は将来のSJAHIを背負って立つ人材として活躍することに期待を寄せながら、一人ひとりの研修生の発表に耳を傾けていました。
本研修の成功の背景には、研修生4名のために多くの方々のご協力がありました。経済産業省、社団法人日本自動車工業会、各自動車メーカー等、多くの方々の協力や支えに心から感謝いたします。
実際の機材を使用しながら研修で技術を学びました
講師の懇切丁寧な指導に研修生たちは真剣そのもの
日本語の基礎を学びました
理事長より修了証書を授与