バングラデシュ保健家族福祉省との初めての協力 「医療廃棄物研修」の実施
昨年の秋、ダッカにあるJICEのJDS(人材育成支援無償)プロジェクト事務所に、バングラデシュ保健家族福祉省(以下保健省)担当者から医療廃棄物分野での本邦研修を実施したいとの相談をいただきました。
バングラデシュにおいて医療廃棄物は、病院内での処理を保健省が、院外の収集・運搬・最終処分を地方自治省が所管しています。同国では、1995年の環境保全法の施行に続いて有害廃棄物排出等に係る各環境基準の設定等、政府の環境問題への関心は高く、そうした中で、JDS事業等でこれまでのJICEの適切な対応が今回の研修受託につながったものと思います。
この依頼を受けてJICE海外事業部では、ダッカのJDS事務所と緊密な連絡をとりつつ、環境の専門機関である日本環境衛生センターの協力を得てプログラムの検討を開始しました。
バングラデシュ国での医療廃棄物についての現況は、排出物ごとの環境基準と事業ごとの環境基準を設けてはいるものの、医療廃棄物に関する独立した法律はなく、廃棄物管理に関するガイドラインも存在しないため、一般廃棄物と混合して収集・埋立処分、不適切な再利用や焼却が行われており、感染症や環境への影響が懸念されています。
研修参加者はバングラデシュ政府の推薦で、首相府局長を団長とし、元JDS卒業生1名を含む首相府から2名、保健省から3名という構成です。
6月20日~26日という短い研修期間の中で、バングラデシュ政府の希望を最大限に取り入れ、東京都環境局、有明清掃工場、国立国際医療研究センター(医療廃棄物処理の院内管理体制の取組み)、(株)イー・エヌ・ツー・プラス(医療廃棄物処理技術)に協力していただき、充実した内容の研修を実施することができました。
最終日の評価会では、院内の医療廃棄物の実際の収集・運搬現場、環境教育のクラス、医療廃棄物における民間事業者との協力拡大を含めた種々の要望やコメントとともに、今後の継続した協力について期待が表明されました。
今後も、バングラデシュ保健省と環境分野全般において、継続的な協力による人材育成に貢献していきたいと考えております。
前列左よりJICE中村稔研修室長, Mr.Md.Abdul Aziz, JICE専務理事山野幸子, (財)日本環境衛生センター古澤真澄氏
後列左よりJICE川本裕士,Mr.Md.Abu Masud,Dr.A.F.M.Saiful Islam,Dr.Baizid Khoorshid Riaz, Dr.Ataur Rahman, JICE研修監理員加文字信子・芳根和子