JICE友好交流基金「四川省へのボランティア交流事業」
日中友好の一環として、青少年交流、教員交流、国際交流関係者交流、文化・スポーツ交流など様々な分野で活用することを目的に、2011年7月にJICE友好交流基金を設立しました。
今回、当基金を活用した事業の第一弾として中国日本友好協会と協力し、東日本大震災の被災地及び後方支援に携わった日本のボランティアの方々を2008年の大震災から復興した四川省へ2011年11月24日(木)から29日(火)まで訪問団として派遣し、現地の方々との交流・意見交換等を行いました。
訪問団は、池田誠団長(財団法人北海道国際交流センター事務局長)はじめ13名で、四川省を訪問するにあたって、北京にて中国日本友好協会の関立トウ(丹の右側にさんづくり)秘書長との懇談及び意見交換を行いました。訪問団には中国日本友好協会から郭寧理事及び都市・経済交流部の劉夢妍職員、JICEから山名健司総務部長と飯塚友佳里北海道担当主任が同行しました。
北京では国家地震緊急救援訓練基地を訪問し、基地の概要説明、訓練施設見学等を行い、東京消防庁からJICA「中国地震救援能力向上プロジェクト」で派遣されている長澤享専門家とも意見交換を行いました。基地内には地震遺跡の模型があり、傾いた建物内での救助活動がいかに大変かを感じることができました。また、3D映画館では防災教育用の3D映画を体験し、訪問団参加者からは防災教育の重要性や実地訓練を重視している様子が良く理解できたとの感想がありました。
四川省北川県では、大震災後も建物や家屋等がそのままの状態で保存されている被災地を視察しました。姉妹省である山東省からの支援で新しい町を別の場所に作り、そこに住民が移住したそうです。現在、北川県のボランティアの方々は住民の心のケアを重視した活動を行っています。宮城県の参加者からは「被災地は3月の東日本大震災の翌日と同じ光景だったが、新しく復興した様子を見て希望が湧いた。」という感想がありました。
また、訪問団は実際にボランティア活動をしている北川県や綿陽市のボランティアと意見交換を行い、交流を深めました。両国のボランティアに共通するのは、他の仕事をしながら、ボランティア活動を行っている方が多いということです。今回の訪問団は石巻市でボランティアコーディネーターをしている方、瓦礫の撤去作業等現場で力仕事をしている方、陸前高田市の避難施設で炊き出しや片付けなどのお手伝いをしている方、北海道で東北地方からの被災者の受入や物資輸送などの後方支援をしている方など、様々な形でボランティアをしている方が参加しており、中国のボランティアの方々と広く経験を共有することができました。
最終日は共青団四川省委との会見及び座談会を行いました。座談会では日中各3名が各自のボランティア活動についてパワーポイントを使用した発表を行い、意見交換を行いました。中国のボランティアの方々は四川省での震災ボランティア経験を生かし、青海省や雲南省等での災害援助にも協力していることがわかりました。また、中国のボランティアの方からは、ニュースを通してではなく、実際に被災地で活動している方々から日本の被災地の様子を聞くことによって、日本の現状をより深く理解することができたとの意見がありました。さらに昼食中も活発な意見交換が続きました。
四川省は人口約9000万人、かわいらしいパンダで有名な省ですが、大震災から復興に向けて、様々な人たちが積極的に活動を行っている様子がわかりました。参加者からもボランティアの重要性を再認識するとともに、世界から復興支援を受けていることへの感謝の気持ちが強くなったとの感想が聞かれました。今後もこのような交流を続けることによって、震災復興支援につながり、さらには日中両国の友好が深められることを願っています。