事業ニュース

サウジアラビア日本自動車技術高等研修所(SJAHI)
マネジメント・アドミニストレーション研修を実施

中東 プロジェクト支援

JICEでは昨年度に引き続き、サウジアラビア日本自動車技術高等研修所(以下SJAHI*) から研修生2名を招へいし、マネジメント・アドミニストレーション研修(2012年6月12日~7月10日)を実施しました。

この研修は、教務部門を中心とした学校運営、授業・試験評価および日本企業独自の経営管理手法やチームワーク、人材育成手法を学ぶことにより、参加者のレベルアップを図るとともに、 SJAHIの自立的運営の達成に貢献することを目標とし、今回は総合的品質経営(以下TQM)への理解を深めることを目的とした「中・上級管理者のための品質経営研修(PQMP)コース」(財団法人海外産業人材育成協会(HIDA)主催)と、チームワークやリーダーシップの能力向上を目的とした「人と組織の問題解決研修(SHOP)コース」の2コースを実施しました。

スヘイル教育部長はPQMPコースに参加し、日本における品質経営の歴史的発展と現状、企業経営と品質保証との関係性を学び、自国で品質経営を推進するためのステップや組織体制に関して、参加者同士の経験に基づき発表や討論などを行いました。この他、日本各地の企業を訪問し、各企業におけるTQM活動について理解を深めるとともに、日本工学院八王子専門学校や日産横浜自動車大学校での研修および日産自動車追浜工場の見学を行うなど、充実した29日間を過ごしました。

01.jpg 02.jpg
PQMPコースに参加したスヘイル教育部長 日本工学院での研修


03.jpg

PQMPコース参加者と一緒に記念撮影(左端:スヘイル教育部長)

一方、SHOPコースに参加したハッタン教官は、株式会社リーム中産連取締役専務 村田識行講師のご指導の下、「人と組織の問題解決」に向けてどのようなアプローチが必要か?というテーマのもと、日本の「カイゼン」運動を取り入れた海外の中小企業の事例検証やコミュニケーション実習、公開セミナーへの参加などを通じ、チームワークやリーダーシップ等のスキル向上を図りました。 この他、一般社団法人日本自動車工業会(JAMA)の協力の下、企業研修やパナソニック・ミュージアム、自動車関連の博物館訪問等を行った他、スヘイル教育部長と同様、日本工学院八王子専門学校にて教務部門の運営管理、成績評価方法等を学ぶとともに、自動車整備科の視察も行いました。

企業研修では、日本企業の特徴的な経営、運営方法及びマネージャーとしてのリーダーシップ等を実践的に学びました。特に、「整理・整頓・清掃」の"3S"活動を推進している枚岡合金工具株式会社(本社:大阪府大阪市)、エコ・ファースト企業として環境省より流通業界で初めて認定されたユニー株式会社(本社:愛知県稲沢市)では、「カイゼン」運動への取り組みに関して研修を受けました。ユニー株式会社ピアゴ岩倉店では、「整理・整頓」の"2S"および「カイゼン」運動で有益な作業と在庫を増やしたことにより、顧客満足と利益拡大につながったことなどが、小集団活動事例として紹介されました。名古屋トヨペット株式会社では、社員への教育・指導方法、トヨタ名古屋自動車大学校では学校運営、試験や授業の評価などを学び、充実した23日間を過ごしました。

04.jpg 05.jpg
SHOPコースに参加したハッタン教官 (右は講師の 
株式会社リーム中産連 取締役専務 村田識行氏)
日本工学院・自動車整備科の視察
06.jpg 07.jpg
ピアゴ岩倉店内での小集団活動の紹介 同店バックヤードでの「カイゼン」運動

研修の最後には報告会および研修受入れ機関の関係者を招いた修了式を開催しました。スヘイル教育部長、ハッタン教官ともに、日本で学んだ研修内容をどのように今後のSJAHI運営に応用していくかという視点からアクションプランの報告を行いました。 スヘイル教育部長は帰国後のSJAHI運営において、積極的にTQMの考え方を取り入れるなど、早速研修の効果が表れています。ハッタン教官も「カイゼン」運動や職場でのコミュニケーションの重要性に大きな関心を示し、現在、SJAHIでの労働環境改善に努めています。

ハッタン教官はサウジ人教官としてSJAHIに採用された直後の2002~03年に、JICAのカウンターパート研修員として、自動車整備技術の研修のため、日本に約8カ月間滞在した経験があります。外国人労働者が人口の約3分の1を占めるサウジアラビアでは、政府がサウジ人化政策(サウダイゼーション)を強力に推進し、特に、管理職を務めることのできる高度な人材の育成に力を入れていますが、10 年間SJAHIに勤務したハッタン教官が、今回のマネージャー育成のための研修にサウジ人として初めて参加したことは、今後のSJAHIを担うサウジ人の人材の育成という観点からも大変意義深いものがあります。


09.jpg

修了式

研修関係者の皆様には、研修において熱心かつ懇切丁寧なご指導を頂き、研修生を暖かく迎え入れて下さいました。経済産業省、JAMA、財団法人海外産業人材育成協会、株式会社リーム中産連、その他研修を行ってくださった各企業の皆様をはじめとする多くの方々のご協力に感謝いたします。

*SJAHIはサウジアラビア政府の要請を受け、日サ官民(日本側は独立行政法人国際協力機構(JICA)とJAMAの合同プロジェクトとして2002年9月に設立された研修所です。その後JICEが経済産業省からプロジェクトを受託し、専門家派遣、機材供与、研修生受入事業を継続しています。

海外事業部 金森 篤也