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国際研修 代表的な研修プログラム例

都市公共交通

研修内容・特徴

本研修は、独立行政法人国際協力機構(JICA)の課題別研修としてJICEが受託し、研修企画と運営管理を実施したものである。対象者は人口100万人以上の都市で公共交通に関する政策立案や行政運営に関わる実務者で、研修期間は約4週間である。

開発途上国では都市部への人口流入に伴い、公共交通システムの導入や改善が検討されているが、自動車利用は依然として増加し、慢性的な渋滞や大気汚染、温室効果ガス排出といった環境問題が深刻化している。その背景として、環境影響に関する規制政策、多様な交通モード間の連携による都市内総合交通政策、交通管理システムなどが確立されていないことが挙げられる。参加者は、各都市で直面している喫緊の課題に対して、その改善策を立て、計画案を取りまとめる。

到達目標

  1. 所属する機関が現在取り組んでいる対策に資する計画および改善に向けた課題が整理される。
  2. 参加者の所管する都市の公共交通システム改善のための問題とニーズを分析して共有する。
  3. 日本の都市公共交通システムに関する基礎知識を習得し、講義、現地視察、事例研究と結びつけて理解を深める。
  4. 日本と各参加者の国の事例を通じて、実践的なスキルを習得し、それぞれの国への適用可能性を検討する。
  5. 各国の都市公共交通の計画および行政運営スキルと、改善するための課題を整理し、改善の方向性を提示する。

研修カリキュラム

内容 手法
1. 各国、各都市の現状把握 発表
討議
2. 日本の都市公共交通システムの事例研究 講義
視察
3. 実践的なスキルの習得と適用 討議
視察
グループワーク
4. アクションプランの策定とプレゼンテーション 討議
発表

プログラムの様子

広島電鉄株式会社より、原爆による被害、他交通システムとの結節点整備、バリアフリーを目的とした低床車両の導入などについて解説を受ける。写真左から2人目がコーディネーター。単に通訳だけでなく、それまでの講義内容と関連付けた解説を行うなど、参加者の理解の深化を促す。
日本交通株式会社にて、日本のタクシー業界の現状についての講義を受けたのち、日々の点呼作業や新型車両、整備の方法などについて視察
名古屋市交通局より交通の要所としての機能を果たす金山総合駅について、現場を視察しながら解説を受ける。

参加者の声

"本コースはスケジュールがしっかりと練られており、各講義の質も非常に高いもだった。また、講義だけでなく、視察が効果的に組み込まれていることも魅力の1つ。例えば、月曜日の朝のラッシュアワーの新宿駅を実際に見学し、机上だけでなく現場を体感できたことが、講義内容の理解に非常に役立った。" (グエン氏、ホーチミン市プロジェクトマネジメント部専門家)

"日本の都市公共交通機関を円滑でコンパクトなネットワークにした政策について、深く学ぶことができた。特に、安全性、快適性、サービス、満足度、信頼性といった要素は、都市公共交通の提供において最も重要であり、これらを体現する日本の鉄道サービスの開発は、非常に興味深かった。" (ジュード・イベマレ氏、ナイジェリア、アブジャ首都地区)

"公共交通指向型開発(Transit-Oriented Development:TOD)に最も興味を持った。日本には、TODの実施に関するノウハウと、豊富な経験があり、そのアプローチ手法はアフガニスタンにとってだけでなく、世界のロールモデルだ。アフガニスタンに戻ったら、この研修で学んだことを生かして、自分の担当する業務を改善したい。" (スルーシュ氏、アフガニスタン交通省)

当該分野での研修実績

2019年度 都市公共交通 13名
インド国鉄道省・高速鉄道公社職員研修 計294名(計8バッチ)

問い合わせ先

JICE 国際研修部 研修課