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インドネシア海洋資源調整省・副大臣一行を久米島(沖縄)に案内

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 JICEは、インドネシア海洋資源調整省の依頼に応じて、世界最先端をいく日本の海洋深層水の利用技術視察手配を行い、サフリ・ブルハヌディン副大臣一行4名を久米島(沖縄)に案内し、深層水の開発企業・団体の訪問、有識者との面談を仲介しました。

 深層水は深度200m以深の海水を指し、表層水に比べて、(1)清浄性(汚染した河川水の影響がなく、細菌学的・化学的にはるかに清浄)、(2)植物プランクトンの成長に必要な無機栄養塩類を豊富に含み、(3)低温安定性(年間を通じ1,000mの深度で摂氏5度前後)等の優れた特徴を有し、久米島ではこの特徴を活かして車エビの孵化・養殖、海ブドウの養殖、製塩・飲料水・化粧品製造等を行い、地域の経済発展・雇用拡大に成功しています。また、海洋の表層水と深層水の温度差を利用した「温度差発電(OTEC)」の実証にも成功し、化石燃料を使用しない次世代のクリーンエネルギーシステムとして、更なる発展が期待されています。

 18,000以上の島々から成るインドネシアは、世界第3位の排他的経済水域を有し、「世界の海洋国家の軸」を目指して、海洋文化構築、海洋資源管理、海洋インフラ強化、海洋外交、海洋防衛に注力しています。現在、インドネシアの人口(2億4千万人)の3分の1が電気の恩恵を受けられず、特に離島での電力・インフラの開発が急務となっています。深層水は無尽蔵にあることから、クリーンな海洋エネルギー・資源として、発電や、飲料用・農業用水、水産養殖や農業分野での広範囲な利用について、海外の事例研究・検討を行っています。

 今般、日本の深層水多段利用技術が久米島で実際どのように利用され、成果をあげているかを確認するために、海洋資源調整省・サフリ副大臣が団長となり、同省と海洋水産省の高官4名から成る訪日団が、JICEのアレンジと案内で、3月21日~24日迄の4日間の日程で久米島の現地視察、関連企業・団体及び有識者との懇談を実施したものです。

(開発部 土屋 進)

総括討議後の記念撮影。
左から5人目サフリ副大臣。右から2人目が迯目英正技術士、3人目が高橋正征東大名誉教授、5人目がJICE山野幸子理事長