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インドネシア行政官を対象とした「行政改革のための人事評価システム及びイノベーション
(制度・技術)」研修プログラムの実施

アジア 国際研修

インドネシア国家開発企画庁(BAPPENAS)は、2012 年より世界銀行からの借款を活用して行政官人材育成事業であるSPIRIT(Scholarships Program for Strengthening Reforming Institutions)を実施しています。JICE では2012 年9 月、2013 年4 月、2015年9 月に各1 コースの実施を受託し、今年度は3 コースを受託しました。
その一つとして、2016年10月10日から10月23日までの期間、インドネシア国家開発企画庁(以下、「BAPPENAS」と表記)行政官能力開発・教育・訓練センターのRoby Fadillah漁業・海事理事会プランナーを団長とする15名の行政官を対象とした、ビックデータとオープンデータをテーマとする訪日研修プログラムを実施しました。地方行政、国立大学、研究機関、民間企業のビックデータ・オープンデータの取り組みについて、交通やまちづくりなど、様々な分野において、視察を交えた研修を行いました。参加者はそれぞれの専門分野で、これらのデータを取り扱う業務に従事する課長・課長補佐級の若手行政官で、BAPPENASから選抜されました。

交通分野では、交通情報がどのように収集・分析され、ビックデータとして利活用しているのか学ぶため、交通分野で活躍されている民間企業、非営利団体のご協力を得て研修を行いました。交通情報は高速道路に設置された車両感知器、高速バスや車両から送信されるGPSデータを正確に収集・分析することで、交通情報のビックデータとして関係機関に共有されます。それらの情報はテレビやラジオ、カーナビなどのメディア媒体を通じ、利用者に届けられます。関係機関と密に連携することで、正確な情報をより早く利用者に届けることが可能となっているプロセスを学びました。ジャカルタでは交通渋滞が社会問題となっており、参加者から関連機関と連携し、収集データの共有が重要だとのコメントがありました。

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光英システム株式会社で講義を聞く様子

地方創生とまちづくり分野では、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局から講師を招き各市町村や政府が持っているデータを可視化した地域経済分析システム(RESAS)と、そのシステムを活用している自治体事例を紹介していただきました。REASASはオープンデータを活用し、地方創生を目的としたシステムです。観光、産業など様々な情報が、カラフルなグラフやバーチャートで表示され、誰でも気軽に特定地域の情報分析が可能です。
インドネシアでもオープンデータには取り組んでおり、帰国後はRESASのようなシステムを作りたいと参加者も講義に意欲的に耳を傾けていました。

また、まちづくりの分野では、OECDのコンパクトシティー政策に、日本で唯一選出された富山市を視察しました。 富山市は住民の戸籍台帳データをGISデータに反映し、人口推移や人口分布などを分析データに基づくまちづくりに取り組んでいます。インドネシアでもコンパクトシティーを推進しており、富山市の例を参考にしたいとコメントがありました。

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富山市内を視察している様子

福祉分野は、横浜市金沢区が立ち上げたポータルサイトいくなびネットについて紹介しました。いくなびネットは、区役所内で縦割となってしまっている育児情報を一つに集約したポータルサイトです。子育て世代の親が子どもの情報をポータルサイトに登録すると、子供に合った子育て情報が瞬時に閲覧・検索可能となり、複数の関係機関に出向かなくても子育て情報の収集が可能となりました。参加者からは質問が多くあがり、インドネシアでも金沢区の取り組みを是非参考にしたいとコメントがありました。

医療分野では、救急搬送時に救急車に搭載したタブレット端末に患者の容体を入力し、病院間の情報共有を可能としたシステム、静岡県駿東地区広域救急医療情報共有システム(ESMAT)を紹介していただきました。システムには富士通のデータセンターも協力し、より安全に、そして効率的に患者のデータ共有を実現しています。このシステムにより、円滑な救急医療が提供可能されていることを学びました。迅速なデータ共有で救える命が多くあることを学び、参加者も真剣に講義に耳を傾けていました。

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株式会社デージーエスメディカルの岩田靖氏の講義を聞く様子

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Roby Fadillah漁業・海事理事会プランナー 団長 前列右から2人目
Dewi Sri Sotijaningsih 政治・コミュニケーション理事会情報伝達情報公開副理事会長 後列右から6人目

インドネシアでは国全体として行政改革推進のために行政官の資質向上が急務となっており、今回の研修の成果が実際の業務に活かされることが期待されます。



開発部 新規事業開発課
渡邉 祐希 記