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大エジプト博物館合同保存修復プロジェクトのプロジェクトチームが「読売国際協力賞」を受賞しました!

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JICEは国立大学法人東京芸術大学と共同企業体を結成し、2016年より独立行政法人国際協力機構(JICA)から「大エジプト博物館合同保存修復プロジェクト」を受託し実施しています。この度、同プロジェクトのチームが読売国際協力賞を受賞いたしました!

贈賞式に参列した専門家5名(左から、石井美恵氏、谷口陽子氏、中村三樹男総括、岡田靖氏、西坂朗子総括補佐)

読売国際協力賞は、国際協力分野で活躍し国際社会への貢献と協力の重要性を身をもって示した個人・団体を表彰する目的で1994年に創設され、第1回は当時の緒方貞子国連難民高等弁務官が受賞しています。以降、各界の著名人や団体が受賞してきましたが、文化遺産保護分野での受賞は今回が初めてです。同賞の選考委員会座長で日本国際問題研究所評議員の佐藤行雄氏によりますと、今回の受賞は過去最多の応募数の中から選ばれたものであるとのことです。

11月10日に開催された贈賞式には、今回受賞したチームの中心となった5名※が出席しました。冒頭の主催者挨拶では、読売新聞グループ本社代表取締役会長・主筆代理で東京本社取締役論説委員長の老川祥一氏が「これまでエジプトはツタンカーメンの遺物など、数々の至宝を外国人に触らせてこなかった。それがエジプト側から日本側に『遺物の保存修復を一緒にやらないか』と共同修復を申し出たことはエジプト側の方針の大転換だった」と説明。「それは人材育成や技術移転などの研修で成果を上げ、専門家の高い技術と情熱がエジプト側の信頼を得た結果である」と評価された点を述べられました。

受賞した5名に「これからも日本そして世界各地に残る『人類の遺産』を守っていってほしい」と激励の言葉を贈られる老川祥一・読売新聞グループ本社代表取締役会長・主筆代理
南砂・読売新聞東京本社常務取締役調査研究本部長(右)から正賞と副賞を受け取る中村総括

チームを代表して中村三樹男総括が受賞の挨拶を行い、「地味で目立たない保存修復という仕事が、このような形で認知されたことは、この分野に携わる人たちの誇りになり勢いもつく」と感謝の気持ちを伝え、現在プロジェクトで携わっているツタンカーメンの遺物についても説明し「専門家も『これで失敗したら明日はない』という気持ちで精魂込めて頑張っている。コロナの終息を祈るとともに大エジプト博物館開館に向けて今後も頑張っていきたい」と改めて決意を述べました。

受賞に対する謝辞と今後の保存修復に対する抱負を述べる中村総括

JICEは今後もプロジェクトにおいて、対象遺物の保存修復や移送、人材育成、調達、広報等、プロジェクト推進に向けて積極的に貢献していきます。

※プロジェクトチームを代表して受賞した専門家5名(所属は贈賞式時点)
中村 三樹男・・・プロジェクト総括。JICE所属。
西坂 朗子・・・プロジェクト総括補佐・保存修復計画担当。JICE及び東日本国際大学所属。
岡田 靖氏・・・・木材品の保存修復を担当。帝京大学所属。
石井 美恵氏・・・染織品の保存修復を担当。佐賀大学所属。
谷口 陽子氏・・・壁画の保存修復を担当。筑波大学所属。
*近日中に、同プロジェクトのこれまでの歴史や携わった専門家の方々の生の声を盛り込んだ記事をお届けいたします。どうぞお楽しみに。

研修事業部 管理・プロジェクト課
清水 舞子記