事業ニュース

「日本で暮らす外国人住民との共生について考える」をテーマに、長野県上田高等学校でオンライン授業を実施しました。

複合(地域) 多文化共生

 JICEは、文部科学省のWWL(World Wide Learning)コンソーシアム構築支援事業*の拠点校である長野県上田高等学校からの依頼を受け、2020年度から3年間の予定で、グローバル人材の育成を目的とした、グローバルスタディ関連授業の実施に協力することになりました。

 2020年度は、2021年2月16日・17日の2日間で、「日本で暮らす外国人住民との共生について考える」をテーマに、これまでJICEの多文化共生関連事業を共に実施してきた外国籍の4名をゲストスピーカーに迎え、1年生8クラス計324名の同校生徒を対象に、オンラインで授業を行いました。

 授業は、
 1) 日本で暮らす外国人について知る
 2) 日本で暮らす外国人の話を聞く
 3) 日本で暮らす外国人との共生について考える
の3ステップで行いました。

 1)日本で暮らす外国人について知る、では、ワークシートを活用した事前学習と講義を通じて、特に同校生徒が暮らす上田市や長野県における外国人住民の人数・国籍・推移・特徴・課題・行政施策などについて紹介しました。
 2)日本で暮らす外国人の話を聞く、では、キルギス・ブラジル・ペルー出身で、長年に亘り日本で暮らす経験を持つゲストスピーカーの4名から、「地域社会の中で暮らす上での困難や課題」を中心にお話しいただきました。
 3)日本で暮らす外国人との共生について考える、では、1)2)での学びを踏まえ、「日本で暮らす外国人住民と日本人が、共により良い暮らしをするために、自分たちが今できること」をテーマにグループワークを行いました。自分がことばの通じない国で暮らす事になった時に、どんな環境やサポートがあったら暮らしやすいのか、困りごとを解決して住みやすい環境をつくるにはどうしたらよいか、という視点で自由に意見を出し合い、最後に発表をしてもらいました。参加した生徒からは、「病院や銀行など生活の中でサポートが必要な場面に同行するボランティアを始める」、「地域で日本語を教える活動をする」、「困っている様子の方がいたら積極的に分かりやすい日本語で声を掛ける」など、高校生ならではのアイデアが沢山出されました。

 また、プログラム全体を通して、「日本人が外国から日本へ移住してきた人々に対して文化、制度を押しつけるのではなく、日本人も歩み寄ることで共存につながるという言葉が心に残った」、「そもそも自分も外国人も平等であるということを意識し、対等に話すこと、相手に歩み寄ることを大切にしたい」等の感想をいただきました。
 JICEでは、これまでの事業で培った知識やネットワークを活かし、日本で暮らす外国人の皆さんと、互いに理解しあい、共に生きる、多文化共生社会の推進に向けた事業やプログラムを、今後も企画・実施して参ります。

*WWLコンソーシアム構築支援事業:将来、世界で活躍できるイノベーティブなグローバル人材を育成するため、これまでのスーパーグローバルハイスクール事業の取組の実績等、グローバル人材育成に向けた教育資源を活用し、高等学校等の先進的なカリキュラムの研究開発・実践と持続可能な取組とするための体制整備をしながら、高等学校等と国内外の大学、企業、国際機関等が協働し、テーマを通じた高校生国際会議の開催等、高校生へ高度な学びを提供する仕組み(ALネットワーク)の形成を目指す取組である。参考:https://b-wwl.jp/about/

国際協力推進部 多文化共生課 石神 萌

ゲストスピーカーの経験談を聞きました
グループワークでは多文化共生社会の実現に向けたアイデアについて共有しました