JICEは2022年2月24日から3月4日までの6日間、2020年度に人材育成奨学計画(以下JDS)で来日した18か国、339名の留学生を対象に中間研修を実施しました。新型コロナウイルスの感染拡大を予防する観点から、2021年に続き2回目のオンライン開催となりました。
今年で6回目の実施となる本研修は、JDS留学生が修士課程修了まで残り約半年となった時期に、自身の留学目的を振り返り、JDS留学生としてのアイデンティティを醸成するとともに、帰国後にそれぞれの国の開発課題解決と発展に資するリーダーになっていくための意識を付けることを目的として実施しました。講義やグループワークを通して、国の代表者としてJDS留学生同士が意見交換を行い、新たな気づきを得る場となりました。
慶應義塾大学大学院の谷口智彦教授による「日本における5つの挑戦:ここから向かう先」と題した特別講義では、日本が現在直面している課題について説明頂きました。JDS留学生は、日本の課題を知ることであらためて母国の状況を振り返ることができ、帰国後に行政官としてどのように貢献するのかを考える機会となりました。
グロービス経営大学院の吉野賢哉教授からは、自国と日本のリーダーシップにはどのような違いがあるのか、リーダーシップを通して何を成し遂げたいのか等、JDS留学生に質問を投げかける参加型のリーダーシップ研修が行われました。
また、今年初めての企画となる「リーダーシップ ~組織に変化をもたらすには~」と題したパネルディスカッションでは、現在、局長および副大臣級の要職に就いて活躍するJDS帰国留学生をパネリストに迎え、リーダー像や帰国後にJDS留学生へ期待する役割について意見が交わされました。参加者は実体験に基づく帰国留学生の話を興味深く聞き、帰国後リーダーとしてどのような役割を果たすべきか、さらに考えを深めました。
グループワークでは、それぞれの研究分野に関連したSDGsを課題としたアクションプランの作成や、帰国後に国のリーダーとして団結できるよう、国ごとの課題達成に向けたアクションプランの作成および同窓会活動の計画を立てました。各国の参加者が、普段交流する機会の少ない他国・他大学の同期留学生による多様な考え方やアイデアに触れ、意見を交わし、また相互理解を深め、JDS留学生として士気を高めるとともに、留学生同士のネットワークが形成されるきっかけとなりました。
JDS留学生からは、「先輩から経験や考え方を聞くことができて非常に有益な機会となった。また、ネットワークの重要性を感じた。これからは自分がJDS留学生の一員としてネットワーク構築の一助になっていきたい。」(ケニア)、「他国のJDS留学生と意見交換を行う中で、自身の行動を見直すきっかけとなり、JDSへの応募時から掲げてきた目標の実現がぐっと近くなった。」(カンボジア)などの意見が聞かれました。
JICEは、今後もJDS留学生の学業や日常生活のサポートだけでなく、リーダー育成及び各国行政官とのネットワークづくりに役立つような研修を企画・運営し、帰国後の留学生の活躍を後押しできるよう取り組んでまいります。
留学生事業第一部
竹内 駿平