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「就労者に対する日本語教師初任者研修」フォローアップ研修を開催しました

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 JICEは、8月27日(土)に、2019年度から実施している文化庁委託事業(※注)「就労者に対する日本語教師初任者研修」を修了した受講者を対象にフォローアップ研修を実施いたしました。本研修は、研修修了後の実践について、研修の成果の検証を行うと共に、修了生のネットワークを構築し、お互いが現場で抱える悩み・関心の高いテーマについて継続的な学び合いの支援のためJICEが企画したものです。

 今年度は30名の修了生が参加し、前半では修了生の実践報告、後半では愛知県立大学の神田すみれ先生によるワークショップを行いました。

 修了生の実践報告では3組に発表をいただきました。それぞれ、介護現場で日本語講習を行うときの依頼主とのやりとりの工夫点、定住外国人を対象にした就労を目指すコースでの実践例の共有、地元の農家で働くことになる技能実習生を対象とした日本語講習の事例紹介をしていただきました。

 後半の神田すみれ先生によるワークショップでは、コロナ禍での定住外国人の現状や課題について講義いただきました。グループワークでは、講義からの学びと自身の周りにもある外国人が関わる問題について意見交換を行い、何が問題なのか、どういった解決策があるのか、自分たちができることは何かについて考え発表しました。

 本研修の最後には、JICE日本語教育専門委員の日本女子大学教授の衣川隆生先生、学習院大学教授の金田智子先生、長崎総合科学大学准教授の渡部裕子先生、元徳島大学教授の大石寧子先生にご講評をいただきました。また文化庁国語課の増田麻美子様にも一言をいただき、受講者は励まされた様子でした。

 終了後のアンケートでは、「今一度初心に戻ることができて良かったです。多様性、個別化、文脈化、対話と協働、キーワードをしっかり頭に叩き込んでおきたいと思います。」「自分が取り組みたいと思っている課題がクリアになり、そのために何をするか改めて考えてみようと思った。」「同じ研修を受けた共通点があり、グループで課題なども話せたことでもう一度自分を見つめ直せ、がんばろう!と思える良い時間でした。」など、自分自身の実践を振り返りながら、これからの教育実践に生かせるヒントを得た方が多く見受けられました。

集合写真 左上から、衣川先生、金田先生、渡部先生、大石先生、文化庁増田様、神田先生

 本研修を機に、日本語教師間のネットワークの拡充・強化が期待されています。JICEは、研修プログラムの効果が継続的なものとなるようフォローアップに積極的に取り組んで参ります。

(※注)

2019年度 2019年度日本語教育人材養成・研修カリキュラム事業
2020年度 令和2年度日本語教育人材の研修プログラム普及事業
2021年度 令和3年度日本語教育人材の研修プログラム普及事業

国際協力推進部 日本語教育事業課
田中 弥生