JICEは、中国江蘇省衛生健康委員会から派遣された医師14名に対して約3カ月にわたる研修を実施しました。
この研修はJICEと江蘇省衛生健康委員会が締結した協力協定(*注)に基づき2012年より開始され、今回で12回目の実施となります。日本の診断・治療技術やチーム医療、人材育成などを学び、医療関係者間の交流を通じて、江蘇省の医療全体の質を高めることを目的とし、特に中国で高度医療を担う「三甲病院」(日本の特定機能病院に相当)における医療技術向上に役立てることを目指しています。
医師たちは、大阪公立大学医学部附属病院・大阪国際がんセンター・がん研有明病院・慶應義塾大学病院・帝京大学医学部附属病院・東京医科大学病院・東京大学医学部附属病院・日本大学病院(50音順)に分かれ、各診療科の指導教授のもと、2025年9月から11月まで11週間の研修を受けました。
病院での研修に加え、JICEでは以下を共通プログラムとして実施しました。
・厚生労働省による「日本の医療提供体制」の講義
・上塚芳郎先生(元東京女子医科大学教授・JICE評議員)による「日本の社会保障制度」の講義
・土田明彦先生(東京医科大学名誉教授・牧野記念病院院長・JICE評議員)による「日本の病院経営」の講義
・初級日本語会話
・文化活動として京都・清水寺及び鎌倉・鶴岡八幡宮に訪問
・日本の家庭へのホームビジット
帰国前日の成果報告会では、各医師の専門分野における医療技術のほか、若手医師への教育、患者との関係や緩和ケアなど幅広い学びを得たとの報告がありました。また、日本の病院関係者と良好な関係を築けたことも成果として挙げられ、「帰国後は所属する病院に日本での経験を共有し、学んだことを現場で生かしたい」「指導教授を中国に招へいしたい」などの抱負が語られました。成果報告会に続く修了式では、吉田耕三理事長から医師一人ひとりに修了証が手渡され、「この研修を新たな出発点とし、帰国後にさらに経験や知識を積み重ねるとともに、今後も日本の医師との交流を深め、互いに研鑽しながら日中両国の医療発展の推進力となってほしい」とのメッセージが伝えられました。
大阪と東京で開かれた送別会には受入病院の先生方も多数参加され、研修に取り組む江蘇省の医師たちの真摯な姿勢を高く評価するとともに、受入側にとっても貴重な機会であり大いに刺激を受けたとの声が寄せられました。また、学会での交流や相互訪問など、今後の長期的な交流継続を期待するコメントも多く聞かれました。
今回の研修を通じて、江蘇省の医師と日本の医療機関との間に強固な信頼関係が築かれ、継続的な交流の重要性が再確認されました。江蘇省では医療水準の向上とともに国際連携への関心が一層高まっており、JICEはこうした動きを踏まえ、今後も江蘇省衛生健康委員会と協力し、日中間の医療交流に寄与するプロジェクトを推進してまいります。
*注:JICE は、2010年12月、江蘇省人民対外友好協会と、友好協力に関する覚書に調印し、医療衛生・農業・環境保護・教育の分野における相互交流、及び協力を行うことに合意しました。その枠組みのなかで、2012年5月、当時の江蘇省衛生庁(現、衛生健康委員会)と医療衛生分野において協力協定を締結しました。すでに専門医資格を持つ医師が、さらに知識や能力を高めるための研修に参加する際、このような研修の参加者をクリニカルフェローと呼んでいます。
国際研修部研修課