JICEは2025年11月17日(月)から11月21日(金)まで、マレーシア住宅・地方自治省からの依頼を受け、「持続可能な都市開発(都市再生・スマートシティ)研修」を実施しました。
この度、同省がJICEに依頼した背景には、マレーシア政府が打ち出した第13次国家開発戦略「5ヵ年計画2026-2030」があります。同省はこの計画において、「持続可能な都市開発」、「都市再生」、「スマートシティ開発」の分野の政策策定を担っています。日本の政策や先行事例を学び、マレーシアへの応用の可能性を探りたいという目的で、今回の研修を実施することになりました。
研修には都市開発関連分野の担当部局である都市サステナビリティ局、都市計画局、廃棄物管理局の職員が参加しました。JICEは各部局のニーズに鑑みて、適切な講師や視察先を選定し、研修プログラムを企画・運営しました。
参加者はまず、東京大学大学院工学系研究科特任講師の中島弘貴先生による日本の都市開発の歴史と将来への展望に関する講義を受講しました。講義に先立ち、参加者が所属部局の抱える当該分野の課題について発表し、課題に関する講師との意見交換も行われました。続いて、国土交通省及び東京都庁を訪問し、それぞれ日本の国及び自治体の視点から、人口減少や自然災害を踏まえた都市再生や都市強靭化政策に関する講義を受講しました。昨今、マレーシアでも気候変動の影響で洪水被害が頻発しており、参加者からは日本の地震・台風・洪水を想定した都市開発について多く質問が寄せられました。また、スマートシティの政策・取り組みとして、「公・民・学」の連携による、AIやデータを活用した防災、都市交通、土地利用の事例を学びました。
講義に加え、参加者は、洪水を防ぎ都市の強靭性を支える首都圏外郭放水路、及び人口の多い都市の持続可能性の維持・向上に欠かせない廃棄物問題への対応事例として、企業が運営する家電リサイクル工場(JFEアーバンリサイクル株式会社)も視察しました。さらに、国土交通省のスマートシティモデル事業として選定を受けた千葉県柏市の柏の葉スマートシティも訪問しました。参加者はこれらの視察を通し、講義で学んだ政策が、政府・自治体・企業の手によって実現されている現場を目の当たりにし、「都市開発政策の学びを得ただけでなく、持続可能な都市の具体的な成功モデルを知ることができた。」とのコメントがありました。
今回、初めての受託となったマレーシア住宅・地方自治省に対し、JICEでは、研修の成果を最大化するため、事前の対話を重視し、関係職員との継続的な意見交換を通じて、参加者の背景、関心、組織としての課題を丁寧に把握したうえで研修プログラムを企画しました。
参加者は複数の部局から構成されていましたが、それぞれのニーズを踏まえた内容を盛り込み、5日間という限られた期間の中でも実践的で効果的な研修を実施することができました。研修後には、内容の分かりやすさや実務への有用性について高い評価が寄せられています。
JICEは、国や組織の状況、参加者の多様性に応じて柔軟に研修を設計・実施することを強みとしており、本研修はその一例となりました。今後も、各国のニーズに寄り添った質の高い人材育成を通じて、国諸外国の発展と各国とのパートナーシップの構築に貢献していきます。
国際研修部研修課 小松 瑞穂