ASEANと太平洋島嶼国からの参加者が防災対策を学ぶ
2010年7月7日(水)~15日(木)にかけて、「21世紀東アジア青少年大交流計画(JENESYS Programme)」の一環で、日ASEANプラス太平洋島嶼国間防災対策プログラムを実施しました。ASEAN10ヵ国および太平洋島嶼国11ヵ国2地域から集まった防災関係者89名は、都内での共通プログラムおよび北海道・茨城・和歌山・兵庫での各地域プログラムに参加し、視察や講義を通して、防災に対する理解を深めました。
奥尻島を訪れた北海道プログラムでは、訪問期間中である7月12日に北海道南西沖地震発生から17年を迎えました。参加者は島内視察や体験者の話を通して、当時の被害状況の実態を理解するとともに、島の様々な場所に記録された災害の脅威と被害がもたらす悲しみを目の当たりにしました。太平洋島嶼国の多くは津波災害への危機感を共有しており、奥尻町が災害から何を学び、どのような形で対策を行っているのかという説明に熱心に耳を傾け、それらを自国でどのように活かすかを想定した質問が活発に交わされていました。その一方で地域の方々との交流では民宿体験を行いました。一つ屋根の下で一緒に食卓を囲み、お互いの地域の紹介などをしながら交流を深めました。2泊3日の宿泊が終わる頃には太平洋島嶼国からの参加者も日本人と同じように箸を使いこなし、最後には抱き合って別れを惜しむ姿が大変印象的でした。
また都内共通プログラムでは、ASEAN事務局の参加によりASEANの防災に対する取り組みについて講義を受けました。参加者は日本国内の事例だけではなくASEANを含めた様々な地域での状況を共有し、今後若者を中心にどのように災害に強いコミュニティを築いていくかについて話し合いを行いました。これらの成果はASEAN事務局が実施したエッセイコンテストを通して、各参加者によりまとめられています。
「災害は人々が忘れた頃にやってくる。災害は忘れずにやってくる。」
それぞれの地域でプログラムを経験した参加者の共通の学びは、自然災害は防ぐことが出来ないということの再確認でした。その中で災害をどのように管理し、被害を最小限に抑えるかという日本各地の知恵・試みを学んだことはASEAN・太平洋島嶼国の参加者にとって大変大きな成果となりました。防災対策という共通の課題を通して出会った日本各地の方々とASEAN・太平洋島嶼国の参加者の交流が、災害に強い世界をつくる基盤となるよう願っています。
基調講演に熱心に耳を傾ける参加者
実際の津波の高さを想定した奥尻島の防潮堤
小学校での避難訓練の見学