北九州市で「環境通訳」育成講座(全4回)を実施しました。
JICE九州支所では、『環境未来都市』に選定されている北九州市が主催する「環境通訳」育成講座(全4回)を受託、2013年1月12日-2月2日の毎週土曜日に実施しました。
北九州市の環境への取り組みは、国内はもとより海外からも注目され、年々海外からの視察者、研修者も増加しています。そこで、環境分野において専門的な知識を有し、ホスピタリティを持った通訳の育成が重要と考えられています。今回の講座は、そのような需要に対応するため、株式会社九州テクノリサーチ エコタウン事務所長の佐藤明史氏を講師に迎え、北九州市に在住し、市内で活躍している通訳者を主に対象として行われました。
この講座でJICEは、北九州市や関係各機関からの要望に応え、教材の準備や講師との調整、視察先の手配、募集取り纏め等を行いました。
第1回講座では、北九州地域における環境に関する取り組み、環境通訳の現状と課題、多文化に関する知識等について学び、参加者自身の環境に対する理解を深めました。
活発な講座となりました。
第2回講座は、響灘エコフロンティア(北九州市若松区)及び東田地区(八幡 製鐵所創業の地)を視察しました。視察先までの移動時間も有効に活用し、佐藤講師から、八幡製鉄所に関する歴史やエコタウンが北九州に誕生した経緯など奥深い内容のお話を頂きました。
北九州市エコタウンセンターでは、エコタウンは環境産業ではいわば”静脈”であること、そしてこの”静脈”は、各工業の立地条件として非常に大事な要素であることなど、具体的な内容を学ぶことができました。
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移動の車中、佐藤講師による 観光ガイドさながらの熱のこもった説明 |
北九州のエコタウン事業について 説明を受ける受講生 |
廃棄物処分場跡に2011年10月にオープンした響灘ビオトープの見学では、廃棄物処分場であった埋立地が絶滅危惧種も生息する日本最大級のビオトープとなった歴史を学び、その保全の大切さを目の当たりにしました。海外からのお客様を迎えるにあたり、このビオトープを守っていく為の協力も欠かせません。
最後に、北九州スマートコミュニティ創造事業の地域節電所(マネジメント拠点)である公益財団法人九州ヒューマンメディア創造センターを訪問し、この事業の概要や期待される効果などを学びました。
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響灘ビオトープのガイド岩本氏の説明に熱心にメモを取る受講生 | 外部の動植物の持込禁止ということで、靴の砂を落として入場 | 活発な質問が飛び交いました |
第3回講座では、北九州市環境局環境未来都市推進室エネルギー戦略担当課長の平石順一氏より、「北九州市における環境・エネルギーに関する取り組み」というテーマでご講義頂きました。今まで知っていると思っていた北九州市の取り組みについても、より具体的な説明を聞くことで参加者の知識を深めることができました。 講義に続いて、佐藤講師ご指導のもとワークショップを実施しました。「北九州の魅力について」というテーマで各人が意見を出し合い、これまで学んできた環境分野に加え、参加者の持っている個々の知識も共有し、北九州市の魅力について改めて確認することができました。
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講義「北九州市における環境・エネルギーに関する取り組み」 | ワークショップ「北九州の魅力について」 |
最終回講座では、これまで学んできた知識を実践に活用できるよう、観光ビジネスの視点から学ぶことを目的として開催しました。 九州産業大学商学部教授の乾弘幸氏をお招きし、「通訳としてのホスピタリティ ―観光者に対する心豊かなもてなし―」についてご講義いただき、海外からのお客様を迎える際のホストとゲストの関係性や、おもてなしの心についてより深く認識することができました。 ワークショップでは、「感動品質」という言葉を、通訳という立場で定義付けしました。3グループに分かれてディスカッションし、それぞれの発表では、プロの通訳者として既に活躍している参加者から、これまで学んだことに加え、さらに新しい視点での意見が飛び交い、お互いの知識・意識の向上へとつながりました。
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講義「通訳としてのホスピタリティ―観光者に対する心豊かなもてなし―」 | ワークショップ「テーマ 感動通訳」 |
講座終了後の修了式では、参加者が北九州市の環境通訳補として今後活躍することを期待し、修了証書とETJ(Environmental Translator Junior)と記載された共通のバッジが授与されました。
講座の開催、参加にご協力頂きました皆様に心よりお礼申し上げます。
JICE九州支所では、これからも日本と海外を繋ぐ様々なニーズに応えた研修等の企画・実施を通じて、九州地域の発展に貢献していく所存です。
九州支所長 戸塚信男